ちりめん本データベース ENGLISH
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ちりめん本データベースとは
 本センターには、明治中期から昭和初期にかけて日本国内で出版された「縮緬本」のうち、絵本を中心とした200点ほどのコレクションがあります。
 これらの「縮緬本」は、和紙に印刷した後に、絞って加工し和本に仕立てたもので、柔らかい手触りと、絹の縮緬布に似た風合いから「縮緬本」と呼ばれています。「縮緬本」は、明治期に来日した外国人が帰国する際のお土産用として作られ始め、重宝がられたもので、外国に日本の文化を紹介するのに役立ちました。
 その中から、「桃太郎」から始まる「日本昔噺シリーズ」等のデジタル化を行いました。

 ちりめん本出版社長谷川武次郎は、明治十八年から明治二十五年にかけて、日本の昔話を外国語に翻訳した『日本昔噺』シリーズ(Japanese Fairy Tale Series) 二十巻二十一冊を刊行しています。
 縮緬本に収められている昔噺には、「桃太郎」「舌切り雀」「猿蟹合戦」「花咲爺」「かちかち山」の『五大昔噺』に加えて「ねずみの嫁入り」「瘤取」「浦島」「八頭ノ大蛇」「松山鏡」「因幡の白兎」「野干(きつね)ノ手柄」「海月」「彦火火出見尊(ひこほほでみことのり)」「俵藤太」「鉢かづき」「文福茶釜」「竹箆(しつぺい)太郎」「羅生門」「大江山」「養老の滝」などがあります。
 それらの翻訳者には、明治六年(一八七三)に来日し、東京大学で博言学を講じ、上田万年など多くの門下を育てたチェムバレン(Basil Hall Chamberlain)や、安政六年(一八五九)にアメリカ長老会議の宣教師として来日、伝道や医療行為の傍ら和英辞書の編纂を行ったヘボン式ローマ字の創始者であるヘボン(James Curtis Hepburn)など日本人によく知られた人の名があります。
 このシリーズは好評で版を重ね、長谷川武次郎の息子の西宮與作に引き継がれ、最も新しいところでは昭和十五年頃まで発行されています。
 このシリーズは英語以外にドイツ語・フランス語・スペイン語・オランダ語・ポルトガル語などの言語に翻訳されています。
 また、これらの昔話とは別に、古典詩歌や戯曲、あるいはカレンダーや版画等も縮緬紙によって印刷されています。